解離性同一性障害の治療 ~ある精神療法の記録その4~

counsellingメンタル
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残念ながらこの回は発達障害のコーピングが中心で、解離性同一性障害の話はあまり進みませんでした。

第4回 発達障害の話が中心

□はカウンセラー、■は僕の発言


□今日もあなたがお話ししたいことから話してください。

前回、ジョンと話をして三位一体でというお話しがあって、それからジョンとポールとチー坊の三者で話すということを試していたんですけど、ポールとチー坊は結構簡単に話せるんですけど、ジョンは恥ずかしがり屋なのでまだちょっと上手に扱えないんですけど。前回こちらに来てから4週間ぐらい、年末年始があって今までの年末年始で一番精神的に楽な年末でした。嫌な思い出がよみがえることもなく気楽に過ごせて、引っ越し先がXXXなんで海沿いを歩いたりして気楽に過ごして、逆にジョンが出る必要がある場面というのがそれほどなかったので、波風なく4週間過ごせた感じですね。

ただ一度家内とまじめな話し合いをしたことがあって、これからどうするのとか家計の負担がみたいな話をしたときに、やっぱり僕も気色ばんだところがあって、それがジョンなのかなと僕も思ったんですけど。具体的にはもっと家計に入れてよっていう話なんですけど。その時に具合が変わった以外は、それ以外はフラットに生活できています。

□ジョンはね、まず僕らの会話を聞いています。ちゃんと彼は聞いているという風に考えて下さい。二番目は、あなたの奥様もあなた自身もジョンの出現を少し怖がっているんだ。どうして怖がっているかというとまあ簡単にいうと暴力をふるうんじゃないかと思っているんだ。で、前回ジョンが何て言っていたか覚えています?

自分が助けていたということ。

□それが一つ。もう一つは?

出たくないのに出た、と。

□どうして出たくなかったと。陰にいたかったと。こう言っていたんです。父親と同じことをしそうなんで怖いんだ。つまり、自分はお父さんと同じじゃないかという恐怖を持っているんで、一所懸命押し込めていたんだと思う。であなたはそう思っているんでしょうか?

ですね。そうではないってお話しは先生からあったと思うんですけど。

□やはり父親と同じで暴力的なんじゃないかって怖さを持っていて、仲間じゃないんだ。うーん。僕が言っているのはね、全部自分なんですよ。その原理を忘れてはいけない。皆同じ自分の中の特性なんだって考えた方が分かりやすい。だからいい子だけして人生暮らす訳にはいかないんで、やっぱり腹が立つことがあってもいいよと。喜怒哀楽というのはそういうことだ。感情の4成分って言われているでしょう。ちゃんと怒が入っているんです。だからやっぱりジョンの出現というのを公認してあげるという気持ちにならないといけないんで、出過ぎちゃったら他の人たちがちょっと引き留めればいいだけのことなんです。ちょっと言い方をやわらかくしようねとか、このくらいにしとかなきゃという感じで自分でコントロールできればジョンも納得するでしょう。ジョンの出番を奪うんじゃなくて、ジョンの出番もちゃんと皆平等だと。だけども何でも出すぎると良くないわけでしょ。例えばいい子を演じるのが過ぎちゃうと自分がなくなりますよね。それから子供である自分というのは良い意味では探求心旺盛であったり、遊んでみたりとか人間にとって大事な活動をすると同時に、行き過ぎれば幼児みたいになっちゃうわけでしょ。でこれもちょっと行き過ぎじゃないですか。でどうしても、別々の人格になると行き過ぎになりやすいんです。うんと子どもになっちゃうとか、うんと攻撃的になるとかうんといい子になるとか。これはまずいと思うんで僕は皆自分だって言うかたちで固まった方がいいと思う。で行き過ぎだけは押さえればいいんじゃないかと。

どうしても極端だって昔から言われることが多かったので。今のお話を聞いているとどうも各キャラクターの特性だけが出てしまってそれを止める人がいなくてって感じだったんですね。

だから皆平等だから合議制なの。民主的というか合議制。それが出来るといつの間にか自分の統合が出来ちゃうということですよ。統合っていうと難しい言葉に感じるけど要するに皆自分っていうのが統合です。人間っていうのはそういう特性を持っていると思うんです。気高いものを持っているのと同時に、やっぱり相当薄汚いものを持っているというのが人間存在ですよね。であまり極端に行かないようにしないと自分自身じゃなくなっちゃう。薄汚い自分はちょっと自分でも受け入れられないだろうし、崇高な自分だけを受け入れたら自分が生きていくのが苦しくて仕方がないじゃないですか。そういう意味でグレーな自分でいいんだということを受け入れるのが大事だと思うんです。だからあなたの場合お父さんとの関係が非常に大きかったと思うのね。恐怖があったし、怒りを出そうとしても怒りをだせなくて、お父さんに対する怒りの感情を出すとまずいっていうんでひっこめたんだと思うんだ。そういう意味ではジョンが一番苦しみにあっているわけだ。日陰の人間になっているわけだ。可哀そうだよそれでは。

だから自分も同じ人格なのに、僕がAとかBとかいう人格に比べると、出しちゃいけない人格だっていう風に感じている。自分がお父さんと似ている、これは恐怖だったんじゃない?

似てないよ。僕がいうには、ジョンとあなたのお父さんは全然違うよ。だからジョンというのは正当な怒りなんだ。ちょっと理不尽だと感じた時に感じる怒りなわけでしょ。だからあなたにとって稼いだ金をもう少しくれといっても無理だという気持ちがあったとしても、それである意味では怒りが生じるのはある意味で自然なんだけども、奥さんに怒りをぶつけてしまうと後が大変だなって思ってそのくらいにしとかなきゃって思う自分があったっていいわけだ。引き留める自分なんだ。そういう感じ。

そうなんです。ある意味においては正当な怒りですよね?あまり家内の前では言えないですけど。でもこれって必ずしも正当じゃない怒りじゃないよねって話を家内としていたんですけど。怒ることがいいか悪いかは別として、怒ってもおかしくない部分は。

怒っちゃうことはあるよ人間だからね。いいか悪いかの問題ではなくて、怒っちゃうことがあるっていうことだ人間は。怒りすぎちゃったら反省するじゃないあとで。それでいいんじゃない。封じ込めるんじゃなくて、出ちゃったものは仕方ないんじゃない。

ですので前よりもっと分かるようになってきたところはありまして。

だから奥さんにもね、そういう意味でCの自分が出てきても怖がる必要はないと言っておいた方がいいね。あのお父さんみたいに暴力したり相手を破滅させるようなことはしないと思います。違うんですよ、お父さんとは違う。言いすぎることはあるかもしれないけども、それはごめんねって言えばいいんだ。そういうことだね。

で年末年始時間がありまして発達障害の本を大量に借りてきて読みました。もう少しプラクティカルな大人の発達障害とかそういうものを読みました。

(以下発達障害の話にカウンセリングの大半を割く、ここでは割愛)

で今は自分の中ではどうですか、こういうジョンにしてもポールにしてもチー坊君にしても納得している感じはありますか?

僕の中では納得している感じがありますね。前回が良かったというか、ジョンの話を聞いてなんかその前とは違う感じなので、すごく腑に落ちたというか納得している部分があります。ただ先ほど申し上げた、ジョンに対しておびえているというか、思うようにジョンとの交流が図れないというか。

まだジョンさんは言い足りないところがあると思うんで、もう少しやっぱり言い分聞いてみたらと思うんだよねー。

分かりました。質問なのですが、三者で話し合うというのは過去のことがいいですか、それとも目の前のことがいいですか。

それは今ここのことがいいでしょうね。

昔のことは前よりバッサリ切れるようになってきました。

それはとても大事なことです。過去のことを全く関係ないわけにはいけないですよね。あなたがトラウマを受けたということは大事なイベントだったと思うんです。ただそのことを繰り返すと健康になるわけじゃないんです。ああこういうことで今こうなってるのねと分かればいいんで。今は違うし。今は父ちゃんも目の前にいないし。

そうなんです。ただ前はタイムスリップがあったんですが、今はこれは目の前のことではないと分かってきたんで。ある意味ちょっと進歩がある。

それで十分です。じゃ次回もね、ジョンのお話を聞きましょう。辛かったと思うんですジョンが実は。我慢してたから。だから時々出て爆発しちゃうんだ。そこで箱にしまっちゃうんですね。頭で分かるだけ、まあ頭で分かることは大事なんですけど。

(了)

第4回目の感想

発達障害のコーピングの話は非常に具体的で参考になるものでしたが、この連載とは趣旨が違うので割愛します。第4回は前回までのアウトラインを復習する回となりました。

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