【従軍記録】祖父の兵籍簿を請求してみた

祖父の東南アジア従軍記
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かつての公務員時代に、駐在員として2年間東南アジア+インドを色々見聞した記録を、「福島県シンガポール通信」としてまとめました。

福島県シンガポール通信
僕がシンガポールに派遣されていた2年間、福島県国際課のHPに「シンガポール通信」と題したコーナーが設けられ、現地での生活についてレポートした記事を掲載していました。その際の記事を当HP用に再構成して、アーカイブとして残すことにしました。掲載時オリジナル記事に大幅に加筆修正してあります。

そのうちミャンマーの回を執筆した時に「祖父がミャンマーで降伏した時に英軍と交流があって、縁深い国です云々」というコメントを書いたのですが、書きながら(そういえばあのじいさんって東南アジア中転戦して回ったんじゃなかったっけ?)とふと思い出しました。

10代の頃に祖父から見せてもらった兵籍簿のコピーはすでに散逸してしまったので、彼の足跡を確認するため、改めて原本のコピーを県庁から取り寄せてみることにしました。

兵籍簿とは何か

軍歴証明書・兵籍簿・従軍記録と様々な呼ばれ方をしていますが、戦前の旧陸海軍に軍人・軍属として徴兵された人にはもれなく、徴兵から召集解除(あるいは戦死)までの一連の軍隊における主な行動・人事異動等の全記録が、「兵籍簿」あるいは「戦時名簿」というフォーマットに記録され、保存されていた時代がかつてありました。

一部の記録は、残念にも終戦時のどさくさで紛失・焼却され残っていないのですが、部隊行動などの記録をもとに再製された兵籍簿が、従軍した人の本籍地に一括で保管されています。基本的に従軍した本人もしくは三親等以内の遺族であれば、必要書類を揃えて請求することによりこの兵籍簿の写し(コピー)を入手できるのです。

請求先は陸軍なら都道府県、海軍なら厚生労働省

請求先は旧陸軍に徴兵された人であれば終戦当時の戸籍住所地を管轄する都道府県の担当課海軍であれば厚生労働省の社会・援護局が窓口となります。

【参考】

旧陸海軍から引き継がれた資料の写し等の請求について

請求できる人

請求できる人は、従軍した人本人もしくは三親等以内の遺族です。今回、僕は陸軍に召集された父方の祖父の従軍記録を請求したいので、彼が終戦時本籍を置いていた福島県伊達郡伊達町を管轄する、福島県庁社会福祉課(援護担当)にまず電話で照会することにしました。(古巣…)

旧陸軍軍人の兵籍簿等の開示について - 福島県ホームページ
旧陸軍軍人の兵籍簿等の開示の御案内

まずは電話で兵籍簿の有無を確認できる

僕の場合、祖父に兵籍簿コピーを一度見せてもらったことがあるので、県庁に原本が保管してあるだろうことは分かっていました。福島県の援護担当に電話し、応対して下さった職員の方に、

  1. 祖父の氏名
  2. 生年月日
  3. 終戦時の本籍地

を伝えます。誕生日がややうろ覚えだったのですが、最終的な階級など補足情報をお伝えして調べてもらったら、ものの1分もかからずに原本が保管されていることが確認できました。よかった。

(余談ですが、うちの祖父は一旦初年兵として徴兵解除になった後、養子縁組で本籍と姓が変わり、それから再度召集されました。兵籍簿は徴兵当初に作成されるため、入手したコピーには当初の姓から二重線で修正された跡が残っています。県庁の検索システムでは、どちらの姓でも確認できるようです。)

必要書類収集のヤマは戸籍関係

さて、兵籍簿の存在が確認されましたので、早速必要な請求書類集めに取り掛かります。福島県の場合、次の4点セットが必要でした。

  1. 兵籍簿等開示申請書
  2. 請求者本人の身元が確認できる書類の写し
  3. 開示申請の対象となる旧軍人と「三親等以内」であることが確認できる戸籍謄本等の書類(コピー不可※確認後返送)
  4. 返信用切手(92円分)

まず1については、県のホームページからPDFでダウンロードして必要事項を記入します。念のため名前の横に押印をするとか、生年月日等情報に漏れや不備がないように記入します。次に2ですが、僕は運転免許証の写しをコピーして同封しました。4の返信用切手も忘れずに封入します。

三親等を証明する戸籍

さて、ここで一つ請求の山場になるのが、3の「三親等関係確認のための戸籍」です。福島県のHPには、より詳しく以下のように記載されています:

 2) 申請者が旧軍人等の孫の場合
2)-1 旧軍人等 → 申請者の親
(旧軍人等の戸籍謄本の中に、旧軍人等が親として、申請者の親が子として記載されているもの)
2)-2 申請者の親 → 申請者
(申請者の親の戸籍謄本の中に、申請者が子として記載されているもの)

つまり、僕→父→祖父の三親等関係を戸籍で示せればいいわけです。

僕の場合、まだ生きている「父の戸籍」で僕と父の血縁関係が示せるのでこの戸籍謄本(450円)を2)-2で使います。また、「父が祖父の戸籍に入っていた頃の除籍謄本」が必要なので、祖父の本籍地から除籍謄本(750円)を郵便で請求しました。

戸籍謄本と除籍謄本/改製原戸籍謄本の違い

「戸籍謄本」や「除籍謄本」など、戸籍関係の請求をしたことがない方には耳慣れない言葉だと思います。他に、「謄本」に対して「抄本」もあったりします。簡潔に説明すると、以下の通りです。

  • 「戸籍謄本」は生存している人が一人でも記載されている書類(戸籍に載っている人が全員死亡するか、婚姻などで「除籍」されて誰もいなくなると「除籍謄本」になる)
  • 「抄本」は一人分だけ抜き書き、「謄本」は戸籍に記載されている人全て分
  • 「改製原戸籍謄本」は戸籍のデジタル化などによりアーカイブ化された昔の戸籍

兵籍簿請求の場合、基本的に謄本を集めます。生きている人間が記載されている戸籍なら戸籍謄本、従軍した祖父の戸籍に誰も残っていなければ除籍謄本です。

今回僕は2か所に戸籍謄本と除籍謄本を請求し、1週間もしないうちに両方の謄本が自宅ポストに送付されました。早速1~4を1セットにして、福島県庁に請求します。

約一週間後、兵籍簿コピーは送られてきた

そして待つことおよそ1週間。今日、ポストに県庁からの封書が届いていました。

ああ、この封筒懐かしい…。

中を開けると、ちゃんと文書番号が取られた公文書かがみ文と一緒に、兵籍簿のコピーがA3見開きで封入されていました。

【ここまで要した費用】
ざっくりと、
・父の戸籍謄本450円+送返信切手代212円
・祖父の除籍謄本750円+送返信切手代212円
・郵便普通小為替発行料100円×2
・福島県庁への送返信切手代184円
合計 2,008円
程度しか、かかっていません。所要期間はトータル2週間ぐらいでした。

まとめ

将来的にどうなるか分かりませんが、現行の制度だと三親等以内の遺族しか請求できないものですから、もしお祖父さんが軍隊経験者であれば請求してみては如何でしょうか。これまで家族に伝えられている話とは少し違った側面が見られるかもしれません。

実際に確認した軍歴はこちら↓

【従軍記録】東南アジアと祖父(請求当初版)
福島県庁から取り寄せた兵籍簿には、僕の知らない祖父の転戦記録が残っていました。ガダルカナル、フィリピン、ビルマと激戦地を輜重兵として転戦。僕が東南アジアに駐在する何十年も前に、似た足跡を残していたことに縁を感じます。

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