公務員の仕事も、部署によって本当に業務は様々です。役人になって、英語が実務で必要になることなんてあるんでしょうか?答えは「能力次第でYes」です。僕の個人的な経験と見聞から、英語を必要とする部署について述べます。
僕の県庁出先での英語経験
さて地元で県職員になったわけですが、県庁的には英語を「活かせる」職場なんていうのは本当に限られてきます。
でも僕が出先の建設事務所にいる間、たまにどこから聞きつけてきたのか「TOEIC満点の若手が建設にいるらしい」という触れ込みで、会ったこともない本庁の人から「道路用の標識(緑とか青色の看板)を訳してほしい」と依頼が来ることがありました。
「上流」とか「この先200m」みたいな単語を訳して、悦に入るわけです。当時の僕みたいな木っ端役人としては、自分が関わった仕事が公的施設に反映されるとなんだか嬉しいのです。
でも、出先機関で英語を使う業務が回ってくることは本当に稀です。そういう意味で、やはり英語業務の花形といえばやはり本庁勤務になるでしょう。
県庁で本当に英語力が必要な部署は大体3か所
僕が知る限り、県庁の本庁で英語力が本当に必要になる職場は次の3つです。
①国際担当部署(いわゆる「国際課」か「国際交流協会」)
通常、本庁国際課というと知事直轄か環境政策部門の下にあって、県内にいる外国人への対応や、外国からの訪問客への接遇、あるいは知事や県議・上級職員が国外に出張する際のアテンドなど、国際業務に幅広く関る、県における外国人対応のスペシャリストが集まるセクションです。僕もここに3年間所属していました。
ここに配属される上で、必ずしも英語がペラペラである必要はありませんが、少なくとも外国語と外国人に対するアレルギーがないことが最低条件になります。語学力があるに越したことはありませんが、実際の英語業務は国際交流員(CIR)という、日本語が達者な外国人JET参加者がサポートしてくれるので、中途半端な語学力が必ずしも役に立つわけでもないです。
また、たいてい県の外郭団体として「国際交流協会」が県庁所在地に存在するので、そこに派遣されてもう少し現場に近い形で国際交流に携わるキャリアパスもあります。この職場だと、実際に外国人である県民の方々と密接にかかわることになるので、語学力はあればあるだけ重宝されるでしょう。英語以外の、中国語やポルトガル語能力などもアドバンテージがあります。
②商工貿易関係の国際セクション(JETRO的な部署)
海外への経済ミッション派遣や、各国の大使館貿易セクションとの折衝、商工関係の情報収集など、英語力があれば必ず役に立つであろう専門業務を行っている、県の商工部の国際部門です。要はジェトロ支部的な部門ですね。ここも、必ずしも英会話が堪能である必要はないですが、英文の読み書きが十分に出来ないと少し辛い思いをする部署です。
③教育関係(県立大学、教育庁など)
都道府県によって違うので一概に言えませんが、一例として福島県の場合、「県立会津大学」というコンピューター関係の大学に外国人の教授が多く在籍しているので、僕の国際課の先輩もよくこの職場に異動になって、様々なトラブル対応などを英語で行っていました。
またALTなど英語を教えるJET参加者の取りまとめをする教育庁でも、英語が実際に運用できると有利になるセクションがあると聞きました。
以上の3部署が、県庁的に英語力をアピールできるセクションであるように思います。
地方公務員にとって英語力は必須能力ではない
6年間の役人生活で色々な公務員を見てきましたが、少なくとも地方公務員というキャリアを考えたとき、英語運用能力より先に、役人としての倫理観・適性、調整能力や対人折衝力など公務員特有のスキルがまず最初に求められるので、きちんとした公務員としての能力が土台にあって初めて、語学力が特別スキルとして追加評価される傾向にあると思います。なので、英語テストの点数がいいから国際課が行ける、的なものでもありません。そこを勘違いすると少し不幸な事態に陥りかねません。
しかし一方で、秀でた語学力や海外経験を持つ職員は、明らかに他の職員とは一線を画したキャリアパスを辿るのも確かです。大抵そういう職員はどこの職場に行っても重宝されるので、国際課や海外事務所、商工労働国際部署などをぐるぐる回ってキャリアを充実させる人も一握りですが存在します。そういう役人の人々は本当に楽しそうに仕事をしていて、こういうキャリアパスもありだなと思わせるものがあります。
以上、僕の個人的な経験と県庁的な英語キャリアについて述べました。
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