(本稿は2008年に福島県国際課HPに掲載された原稿を再構成したものです)
2年間のシンガポール駐在を締めくくるアテンド
私がシンガポール事務所に派遣される期間は最初から2年間と決まっていますので、2009年の年が明ければそろそろ帰任準備を始めねばなりません。そんな中、私には正月早々に福島県関係のアテンドが待ち構えていました。福島県のいわき市にある、県立勿来工業高校の生徒6名と引率の先生方2名をシンガポールでアテンドし、シンガポールの工業高校と交流し、学校での研究内容を当地の高校生の前で英語で発表するという教育旅行の対応です。
2007年に赴任して以来、私はことあるごとに色々なメディア、訪問を通じ「福島県の関係者で東南アジアに興味のある方はどんなことでも連絡下さい」と訴えてきました。昨年には、サンテックシンガポールで当地の高校向けの「シンガポール教育旅行セミナー」にも登壇し、福島にぜひ教育旅行で来てくれるよう熱烈アピールを行ったところです(リンク参照)。幸いなことにこの時の努力が実り、シンガポールのとある高校の生徒たちが2008年の年末に私の母校安積高校を訪問し、在校生と国際交流を行ったという報告が国際課からありました。個人的な話で恐縮ですが、私が海外との接点を持ったのも高校生の時の学校の事業だったので、CLAIR東京本部でのJET事業への参加も含め、なんか綺麗な形で私なりの「恩返し」が完結したような気すら覚えました。
https://schliemann.tokyo/trip-to-uk-1995/
アウトバウンドの教育旅行
今回の勿来工業高校のアテンドは、そもそもこの学習旅行を企画した引率の先生が、インターネットで私の「シンガポール通信」を見つけて下さったことに端を発しています。その前にはベトナムに行こうとして調整が難航し頓挫したそうですが、福島県教育庁、国際課を通じて私に話が来たときには二つ返事で引き受けてしまいました。
CLAIRでの仕事で普段から教育関係の機関と連携を深めていますし、今回私と一緒に対応してくれる当事務所の調査員は、大学を卒業したばかりでシンガポールの学校事情にも詳しく、高校生のアテンドは手馴れています。とんとん拍子にアポ取りは進み、最終的に今回のツアーは以下の日程でアレンジすることが出来ました。
9:45 ホテル出発
10:00~12:00 CLAIRシンガポール訪問
12:30~13:30 昼食(事務所近くのフードコート)
14:00~16:00 事務所近辺視察
・マーライオン公園
・ラッフルズ像
・シティホール
・Esplanade
16:00~17:30 プレゼン準備、予行練習(CLAIR大会議室)
18:00 ホテル戻り
【二日目】
9:00 ホテル発
10:00~14:00 Republic Polytechnic(Woodland)学校訪問
15:00~16:30 Woodland周辺視察
17:00 ホテル戻り
【三日目】
8:00 ホテル発
9:00~11:00 Temasek Polytechnic (Bedok) 学校訪問
11:00~11:30 Bedok貯水池視察
移動
12:00~13:30 昼食(イーストコースト)
14:15~15:45 NEWater視察
16:15~17:00 Parkway Parade視察
17:30 ホテル戻り
まだ海外に慣れないであろう高校生たちの余裕を十分に考慮した、我ながら実に美しい日程です(自画自賛)。10年以上前にイギリスに行った時も、あるいは当時の引率の先生方はこういうことを考えながら日程を組んでくれたのかもな、と思ったりもしました。
まずはCLAIR事務所で予行練習
初日、緊張した面持ちで生徒6人が引率の先生お二人に連れられて事務所にやってきました。自己紹介の後、自分も高校時代に同じように海外に行ってとても緊張したこと、今回はこちらでフルサポートするので安心してほしい旨伝えました。まずはシンガポールに来たばかりなので、通常のゲスト受け入れと同じようにシンガポールの概要についてプレゼンを行います。
もちろん中身は高校生向けにやや簡潔な内容になっていますが、まず最初にシンガポールについて詳細な情報を学んでもらうことで、今後の滞在での気づきが多くなることを狙いました。
お昼は事務所があるラッフルズプレイス近くで、私がいつも利用しているローカルレストランに行きました。お店の人は「いつもと違って大人数じゃないの!」と笑っています。ここで、普通のシンガポール旅行ではとても食べないであろう、マレー風中華料理(ズチャーといいます)を皆に食べてもらいました。
昼食の後は、腹ごなしに近所のマーライオン公園まで散歩します。ある意味、我々の事務所への訪問者にとってゴールデンコースともいうべき流れです。

記念撮影
その後事務所に戻り、午後一杯かけて高校生たちには次の日から始まるシンガポールの高校生の前でのプレゼン発表を練習してもらいました。私や調査員も練習に付き合い、英語表現が少しおかしい箇所や、生徒の発音が分からないときには遠慮なく指摘します。といってもアメリカ人やイギリス人のように発音する必要はないのです。あくまで相手の高校生が理解できるかという観点から、最後のブラッシュアップをしてあげます。

すでに練習をして来ているだけあってかなり上手です
リパブリックポリテク高校を訪問
次の日、最初の訪問校はWoodlandエリアにあるリパブリックポリテク高校です。
今回の訪問では、学校側のご厚意で若手職員の方がつきっきりで我々にアテンドして下さり、巨大な学校図書館や食堂、授業風景などを最初に案内してくれました。
そして会議室に案内され、同学年のシンガポールの高校生たちと挨拶をし、予定通り勿来工業高校での研究成果について、全編英語でのプレゼンが始まります。見ているこちらもドキドキです。

発表風景。
他にも、参加生徒さんの一人が生け花に堪能なので、シンガポール高校生の前でライブ生け花セッションが始まりました。

興味深そうに見守る現地高校生たち
こうして無事、最初の学校訪問と研究発表は終わりました。
三日目はテマセクポリテク高校
あくる日、今度はBedok地区にあるテマセクポリテクを訪問します。ここでも学校側で僕らをアテンドしてくださる方が、学校の概要やキャンパスについて説明してくれます。
こちらではプレゼンよりむしろ生徒同士の交流に主眼が置かれていたので、まずはアイスブレーキングで、小さなグループに分かれておしゃべりをするセッションが設けられました。
その後、お互いの学校に関するプレゼンがあったり、
昨日に引き続き生け花セッションがあるなど、充実した交流がここでも出来ました。
最後に福島名物だるまをポリテク側にプレゼントして、今回の訪問も大成功のうちに終了です。
個人的に、2年間の駐在生活を締めくくるアテンドとして地元福島の高校生たちに会えて、私の方でも色々と学ばせてもらうことが多くありました。自分も高校時代こんなだったかな、ととても懐かしい気持ちになりました。
(了)
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