輸入商社での最後の出張は、ドイツのデュッセルドルフ近郊の街Moersでの技術トレーニングでした。この時はこれで最後にしようとかいう気は一切なかったのですが、結果としてそうなりました。ドイツでは色々なハプニングがあって面白かったです。

今回の旅のルート
アムステルダム経由でデュッセルドルフ入り
今回の出張はいつも通り僕が通訳兼アテンド、そして千葉、名古屋、京都、広島の各拠点から営業マンが一人ずつの計5人です。全員オランダ航空利用ですが、僕と千葉の社員以外は、各拠点から直接アムステルダムに飛んで、現地で集合します。心なしか、機内で飲んだハイネケンはいつもより一味違う気がしました。
オランダ航空だと、2017年5月現在、関空も名古屋もほぼ同時刻にスキポール空港に到着してくれるので、待ち合わせをするには結構便利です。問題なく、現地で落ち合うこともできました。今回はどちらかというと、皆年齢は比較的若い層が揃ったと思っています(あくまで弊社的には、ですが。。)

また来ましたスキポール空港。球根売ってます
スキポールからデュッセルドルフ空港までは50分のフライトで、上がってすぐ着陸態勢に。無事、デュッセルドルフに着きました。
トレーニング1日目、ポンプの原理を基礎から
今回訪問しているドイツのポンプメーカーは、弊社の主力商品であるダイヤフラムポンプの兄弟メーカーで、独自の高い技術力から他社とは一線を画す製品をいくつも送り出しています。僕らをアテンドしてくれるA博士とは、各国の展示会で何度か挨拶をして顔見知りでもあるので、すんなりと説明に入っていくことが出来ました。僕ら5人以外にも、このA社のAユニバーシティ(と銘打ったトレーニング)には、ヨーロッパ各国の代理店から10人くらい参加していて、本当に大学の授業のような雰囲気です。日本にいてもある程度勉強は出来るのですが、やはり実際に工場に来て現地の技師から直接授けてもらうハンズオントレーニングは技術の定着度が違います。営業マンも、皆真剣に聞き入っています。

分解して触ってみて初めてわかることもあります
僕もこのメーカーの製品は、これまでPOを作成するときに型番を確認したり、エンジニアが来た時に代理通訳で地方の拠点に行って通訳したことがあったのである程度の知識はあったのですが、実際に中を見るとさすがによくできているなと感心することしきりでした。やはりドイツのモノづくりの能力はまだまだ侮れない高水準だと思います。
夕方はライン川近くの廃工場でツアー
営業マンたちを見ると一部時差ぼけで辛そうな人もいますが、まだまだ大丈夫そうです。一日目の研修が終わった後、A社が企画して近くにあるライン川沿いの大規模な工場跡地に行って、なんというんでしょうか遺産ツーリズム?的な、過去の工場の遺産を忍ぶようなツアーを現地の有志が案内しているものに連れて行ってくれました。要は長崎の軍艦島のような、ああいう廃墟を回るツアーだと思えばいいです。
なんでも昔は、このMoers周辺は水運の便もあり、様々な工業製品が作られ、そのままラインの水運によってヨーロッパ各地に輸出されていくような、大規模な工業地帯だったそうです。残念ながら産業構造の変化により、そうした一次二次的な工業生産は下火になり、かつての大工場も今は空き家となっていますが、最盛期の当時をしのばせる様々なモニュメントが残っていました。
廃墟巡りといっても正直ピンとこないのですが、ガイドさんが熱く語り続けるので、その熱量に圧倒されながら色々回ります。
このツアー、結構時間がかかって2時間半くらい外で色々聞いて歩き回りました。正直グロッキーなころに、ようやくビールタイムです。

ビールはやはりうまかったです
やっぱりここでもステーキ。最近ステーキにはまっています。
二日目もトレーニング継続
二日目も引き続きトレーニングです。このメーカーさんのトレーニングの良い所は、座学とハンズオンが丁度いい感じで交互にやってくるので、トレーニング中にひたすら眠気を堪えながら講義を聞くとか、時差ぼけで疲れた身体にムチ打って工場を歩き回るとか、そういうことをしなくても済む点です。

毎晩結構飲むので朝は辛そうな参加者の皆さん
営業社員4名も、自分なりに疑問点や顧客からの質問を預かってきているので、質問も回答もかなり細かくなりますが、そこは長年培ってきた僕のスキルで上手にさばいていきます。
お昼は会社の食堂で食べたので、その後少し敷地の中を眠気覚ましに歩いて運動をします。今日は本当にいい天気で、ドイツの5月は実にいいものだと思いました。
二日目の夜の部は地元のビアバー
この日の夜は、参加者全員で歩いて、近くのビアバーに行きました。なかなか良い雰囲気の店です。
結局、かなり遅くまで飲んで会社の噂話に付き合っていたので割と疲れてしまいました。
デュッセルドルフに移動、街中を歩く
さて、トレーニングも全日程が終了し、晴れて放免というか、僕的に今回一番楽しみにしていたデュッセルドルフの街に戻ってきました。僕が知っている限りでは、ここには日本人も多く住み、ドイツの中では結構日本人的に住みやすいところだという風に聞いています。どんな街なのか、今から楽しみです。

川沿いのきれいな並木
残念ながらデュッセルドルフに移動した後は雨が続いたので、空のきれいな写真はあまり撮れなかったのですが、それでも石造りの街並みと程よい気温で、楽しく街を散策することが出来ました。
今回はせっかくドイツに来たので、ユンハンスの腕時計を買って帰ろうとして色々見て回ったのですが、意外と日本で買う値段とあまり変わりがありません。機械式の時計なので、故障したときの修理やオーバーホールの手間を考えると、なんだか日本で買った方がいい気もしたので今回は見送ることに。その代わり、ドイツの帽子専業メーカーであるMaiserのハンチング帽と、細かいファッション小物を色々買いこみました。
ドイツだからと言って必ずしも英語が通じるわけでもない
僕がこれまで接してきたドイツ人は皆英語がとても達者だったので、心のどこかに甘い考えが合ってドイツならどこでも英語が通じるものかと思っていました。しかしこの晩、デュッセルドルフのとある有名な酒場に同僚たちを連れて行ったときは、そこのビアホールの従業員に英語が通じず、なんか態度も悪いので一抹の不安はあったのですが、そこがいいというもっぱらの情報なのでビールを頼んで、つまみを適当に注文したらこんな大量のサンドイッチが来てしまいました。
この写真だとそうでもないのですが、実際にはとても5人で食えないほどの量です。注文を取りに来たウェイターに英語で質問したのですが、全く相手にしてくれないので注文したらこのていたらくです。いつもはもう少し下調べしてから店に来るのですが、今回は失敗です。やむなく、店を変えて別な美味しいスペイン料理の店に行って、安いのに激うまなワインとステーキで気分直しをしてきました。
次回ドイツに来るときには、やはり片言でもいいので話せるようになっておくべきだと思いました。
そして帰りのタクシーで事件が
それまでMoersで4泊地元のドイツ風ホテルに泊まっていたので、デュッセルドルフでは趣向を変えて、駅前にほど近い日系?ホテルの朝日ホテルに投宿していました。
普段だったら僕はほとんど地元的なホテルに泊まって、あまりアジア的なところには近寄らないのですが、将来またデュッセルドルフには来ることがありそうなので、話のネタ的に泊ることにしたのです。幸い、同僚たちはこういうサービスの方に慣れているので、割と快適な滞在が出来たようです。
しかし問題は帰国する日の空港までのタクシー。30分ほどの乗車が終わり、さて空港に入ろうかとしたその時、同僚の一人が「あれ、パスポートがない…」と言い出したのです。
その時の話は別な投稿でやや詳しく書いています↓
https://schliemann.tokyo/passport-troubles-examples/
まあでもそういうことって出張しているとたまにあることなんで、粛々と対応するしかありません。僕的には、本当に大事なのはどうしてそういうことが起きたかではなく、起きたところからどれだけ迅速に適切なリカバリーが打てたかです。
もっと言えば、トラブルが起きてからのリカバリーの①速度、②量そして③質ですね。
起きた理由を追求することって、個人的にはあまり建設的ではないと思っています。その時は「今度からは気を付けよう」と思っていても、神ならぬ人である我々には、トラブルはまた違う形に姿を変えて何度も襲ってくるわけです。
理由探し犯人捜しばっかりやっていると、トラブルが起きるたびにそれをやらないといけないんで、いつまでたってもトラブルはなくならず、そして自分の消耗も激しいです。日本社会が大好きな、自分いじめですね。
それよりかは、「俺は何が来てもQuickなリカバリーをしてやるぜ」と大きくどっしりと構えている方が、結果としてトラブルの改善に注力でき、心的消耗も少ない気がします。「起きてしまったことは起きてしまったんだから仕方ないんじゃね」っていう、どこかで聞いたような一見無責任にも思える態度、これの方がリカバリー力(りょく)は高いんじゃないかと思ったりします。
いずれにしても、無事パスポートが見つかって帰国することが出来たのは不幸中の幸いでした。
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