【商社時代】ギアポンプを巡る冒険②(シンガポール旅情編) 2014.10.28-11.4

銀座の商社時代
Wild pump chase 2, SG 2014
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前回の出張を受け、日本の某メカニカルシールメーカーさんが超特急で新規シール2台を作り上げてくれました。さすがプロです。そんな出来立てホヤホヤのメカニカルシールをハンドキャリーでシンガポールに運ぶことに。えっと、通関手続きは…?

第二回出張はメカニカルシール持参で

前回の出張で、米国製メカニカルシールを見捨てて日本製シールに切り替えた話を書きました。

【商社時代】ギアポンプを巡る冒険①(シンガポール) 2014.9.14-21
2014年9月のある日。突然僕は営業部長に呼ばれました。「Zenさ~ん、至急シンガポールに行ってくれないかな」 おお、うちでもシンガポールに出張なんてあるんですね?珍しい。 「今ねぇ、シンガポールに入れたポンプが大変なんだよ。漏れが出て...

その新規シールが超特急で出来上がったので、うちに納品してくれたその日にシンガポールに飛んで現地据え付けを行うことになりました。緊急なので(またこれ)、シールをハンドキャリーでシンガポールに持ち込みたいと営業サイドが僕に言います。
「持ち込める重量だったら別にいいですけど」
「二つで計20㎏ぐらいです」
「で、時間ないですけど通関手続きはどうするんですか?」
「えっ、必要なんですか?そんなものスーツケースに転がしておけば…」

ブツはこのモンベルバッグの中に

えーっとすいません、それは密輸です。

なんと営業部門の人は誰も通関手続きについて考えていませんでした。
まじかよ。一個100万円近い新品の工業製品二つ(金属製、しかも結構大きい)をまさかスーツケースに入れてそのまま持ち込もうと考える人がいるなんて。。。
てかスーツケースがX線検査受けた時点で、丸わかりなのでは。
僕はこの時、正直(この会社、コンプライアンス大丈夫かしら…)と不安になりました。こういうところは、僕は役所出身なので過剰に気にしてしまうのかも知れませんが。

ハンドキャリーの通関手続きは面倒だが難しくはない

羽田の税関は本当に優しくて、僕らの今回の状況を説明するとやり方をイチから丁寧に教えてくれました。要は、きちんと関連書類を準備しておいて、当日羽田国際ターミナルの税関窓口にブツを持参して、保税エリアで預かっている間に書類に許可を得て、それで出国エリアのカウンターでモノを受け取ればいいだけなんです。あと当然必要な支払いも済ませるわけで。

上の写真のように段ボール箱2個をそのままハンドキャリーで機内持ち込み荷物として無事持ち込めました。あとは到着後、今度はシンガポール税関で同じような輸入手続きをするわけですが、これも僕が事前にシンガポール税関に問い合わせをしておいて、問題なくネットで手続きは完了しているので、あとは空港で現物を見せて輸入関税を支払うだけです。そんなに大変な手続きでもないです。面倒ですが。

早速倉庫でポンプに装着してみる

今回のメカニカルシールはこの案件用に特別に製作をお願いしたので、シール面にも超鋼(タングステンカーバイド)を使用した別注品です。客先からは、今回の出張でポンプに装着の上、可能な限りあらゆる事前試験を行って問題がないことを確認するように言われているので、気密検査や水密検査、長時間放置してオイル漏れがないことを全て確認します。

これがその特注品

結果、テストには全て合格して上々の出来です。今回の出張ではこの倉庫で出来るだけの確認をして、次回プラントがダウンタイムに入るころを見計らって、現地に搬入の上据え付け工事と確認を行うことになりました。

お願いだからもうお漏らしは堪忍やで…。

ジュロン島に入島するのは本当に面倒臭い

今回、必要があってジュロン島の中の客先施設で行われる会議に出席したのですが、その時の島への入り方が本当に面倒でした。基本的に、この島は化学プラントが多く存在し、テロ警戒の側面から事前に島内の企業から申請があり、認められた人間しか島に入ることが出来ません。また、島に出入りする際にも、空港の出国審査と同じようなゲートをくぐって、パスポートを預けた上で入島せねばならない面倒さなのです。ちなみにシンガポール人でも自分のIDを預けっぱなしにする必要があります。

左下の島がジュロン島で、細い陸橋でしか入島出来ません

また、ジュロン島からタクシーに乗って帰るような物好きはほとんどいないので、そもそもタクシー自体が寄り付きません。朝ホテルから出かける時にも、行先がジュロンの島の中だと知った時点でタクシードライバーは超不機嫌になります。僕はそんな彼らをなだめすかしてなんとかジュロン島の奥の方にある客先までたどりつかなければなりません。本当に一苦労です。

しかも、さらにそのプラントのコンプレックスに着いた後は、今度はプラント自体の入所ゲートがあって、ここで写真付きの入構証を提示したうえで、一時間に2回くらいしか回ってこない構内バスに乗って現場プラントまで行かなければならないという、何の罰ゲームだか分からないルートに。

さらには、このプラントに入場する時には耐火服と安全靴を着用していないと入場できないのですが、我々用にポンプ代理店が用意した耐火服が、まるっきりジャンプスーツで囚人状態なのです。。

決して犯罪組織に誘拐されたわけではないです。

この服を着てホテルに出入りすると、時期柄「どうした、イス〇ム国に捕まったのか?」とか西洋人に揶揄されるので本当に辛いです(笑)。単純にこれ着てると暑いし。そして、ジュロン島には食堂も売店もほとんどないので、一回喰いっぱぐれるともう夕方まで何も食べられません。恐るべし秘境ジュロン島。

唯一の救いは、シンガポールにいるという点

まあそういう厳しい環境で頑張っていたわけですが、でも考え方を変えれば、そういう面倒なジュロン島入りなど困難は多いけれども、ホテルに帰ってジャンプスーツを脱げば、かつて4年間住んでいてもう第二の故郷と化したシンガポールの街が待っているわけです。これがマレーシアの山岳地帯とか、ベトナムの農村にあるプラントじゃなくて本当に良かった。

前回紹介しきれなかったグルメを同僚二人に引き続き教えてあげたり、旧友と再会する機会を作って近況報告をしたり。もちろん義実家にも行って、週末は普通に泊って溜まった衣類を洗濯までしてもらっちゃいました。

そんなこんなで、次回の据え付けは12月に決まりました。きちんと動いてくれるといいなあ、このぼっこれポンプ。。

まだまだ続きます↓

【商社時代】ギアポンプを巡る冒険③(シンガポール風雲編) 2014.11.25-12.1
前回記事はこちら 前回までのあらすじ 「不良品なんか売っちゃいないヨ、壊したのはお客さんの方ダヨ!」 とは口が裂けても言えない有馬は、曖昧な愛想笑いの通訳でお客さんと現地エンジニアに誤解と愛嬌を振りまく。口は達者だが何も解...

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