【商社時代】ギアポンプを巡る冒険⑥(シンガポール完結編) 2015.4.15-26+5.19-22+9.24-10.2

銀座の商社時代
End of Wild pump chase, April 2015
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前回はこちら↓

【商社時代】ギアポンプを巡る冒険⑤(アメリカ再会編)2015.4.6-10
前回はこちら↓ あれ、またCedar Falls行くんですか…? 忘れもしない今年1月、極寒の中をアイオワ州Cedar Fallsに行ってなんとかポンプの出荷試験を終わらせたのがつい最近のように思えます。今月4月下旬には、シンガ...

さて、本題に戻ろう

僕的にはまるで箸休めのような、前回のCedar Falls訪問から帰国してわずか5日後。今度は約二週間の長期日程でシンガポールに入ります。ミッションは当然、アメリカでオーバーホールし大幅にパワーアップしたギアポンプ改MkIIセコンド二世で、この不名誉な漏れエピソードに終止符を打つことです。

僕はひそかにこのポンプ改良型を別名「ターミネーターII」と呼称して、アメリカサイバーダイン社でリペアを受けている時から優しくなでなでして「今度は頑張るんだよー」とはっぱをかけていました。

こんな問題は早くターミネイトしてしまいたい。もし万が一、ほんのわずかの確率ででも、再度漏れるようなことがあればタダではおきません。映画「ターミネーターII」の如く、全部スクラップにして溶かしてしまいたい…とか押し込まれたエコノミー席でブツブツ呟いているうちに、SQ633便はチャンギ空港にいつのまにか滑るように着陸していました。おっと、もう着いたのか。どうやら、この件に関する僕のストレスも相当なもののようです。

役者は揃った。そして試運転

今回の日程では、客先での打ち合わせ、エンドユーザーへの最終的な報告、倉庫会社での検証組み立て作業、プラントへの搬入と作業が目白押しです。試運転の当日には、アメリカからロジャーもやってくるのでその対応もしないといけません。多忙のうちに日々は過ぎて行きました。

そして試運転当日。役者も揃い、ポンプも据え付けOKです。さあ、システム起動!プラント全体が音を立てて稼働を始めます。大型モーターに電源が入り、カップリングを伝って動力がシャフトに伝わり、ギアポンプ特有のカタコト音が鳴って液が搬送されていきます。1分経過、2分経過。5分、そして10分。ポンプはカタカタ言い続けています。

「大丈夫みたいですね」と、客先の若い担当者。
「大丈夫みたいですね」と、うちのベテラン営業さん。(今回は私物のメガネではなく、工場用ゴーグルを掛けている)

え、これでいいの?と聞き返す間もなく、「じゃあ建屋に戻りますか」と皆戻り始めます。えっと、何たるアンチクライマックス

「Hさん、こんなあっけない終わり方でいいんですか」
「でも試運転は普通はこうなんですよ、今までが異常過ぎただけで…。」

…こうして、一年近く僕の通常業務を大きく妨げたこのヴァイキング伝説は終わりを告げたのです。至極あっけなく。そこにはロッキーのテーマも流れず、当然スクラップポンプが溶鉱炉に飲み込まれながら親指を立てるシーンもなく。

今回学んだこと

この一年近いトラブルシューティングで学んだこと。それは、

・期待を持たない
・一喜一憂しない
・過去は振り返らない

ということでした。とにかくがむしゃらにやっていれば、道は開けてくるものです。その後、客先から何も言ってこないので、僕がよしよししたあのポンプは元気にやっているのでしょう。便りがないのが良い便り。というか、もう二度と便りは来てほしくないポンプです。個人的に。

5.19-22 リブート、前回完結編から一か月

前回の完結編で無事問題なく据え付けが終わったはずのモンスターポンプ。一か月経って、少し調子が悪いということで僕らチームに再招集がかかりました。今度はベテラン営業Hさんに加え、上司の支店長も同行します。

二度あることは三度あるというのはまさに至言です。ほんのわずかではありますが、オイル漏れがまだ続いているとのことで、シールメーカーの方も交え再度システムの点検と確認を行います。場所はやはりジュロン島です。

今回ANAラウンジに行ったら、福島の酒が試飲で特集されています。聞きなれない銘柄ではありますが、一通り試して味を確認します。

シンガポールに向かう機内からは、雲に覆われた富士山が少し挨拶してくれました。

粛々と対応

僕らも慣れたもので、もうここまで来るとちょっとやそっとでは全く動じません。「またか」というよりは「むしろこれが常態だよな」という錯覚すら覚えるくらい。何度も来過ぎて、すでにめぼしい宿泊ホテルは泊まりつくしているので、今回はジュロンイースト駅前に新しく出来た、Genting系列のホテルに泊まります。やっぱり新築は悪くないですね。でもジュロン駅前からジュロン島って、思ったより遠いんです。高速道路を使わない分、朝の渋滞に巻き込まれると無駄に時間を浪費します。

時々、「シンガポールでおすすめのホテルは?」と聞かれることが多かったんですが、以前はコンドミニアムや実家に居候していたので、実はどのホテルがいいかなんて逆に分からなかったわけです(東京に住んでいても、東京のホテルの良しあしが分からないのと一緒です。だって泊りませんから)。でもこの一件で二か月近くシンガポールのホテルに連泊すると、大体どのホテルが使い勝手がいいか分かってきます。

T-2に再会

そして、一か月ぶりにTerminator IIに会うことが出来ました。本当は別にもう会わなくてもよかったんですが。

“Yes I am back.”

僕に出来ることはもう何もないので、エンジニアさんたちのgood handsに全てを委ねます。といっても、エンドユーザー向けの説明会とか質疑応答があるんで、結構業務負荷的にはそれなりのものがありましたが、まあ通訳自体はもう慣れっこです。

ようやく通常操業に

ギアポンプを巡る旅は本当にこれでひと段落なので、この出張記事自体も通常操業モードに戻りました。写真を数枚貼って適当にコメントすれば終わりなのですから、楽な話です。いつもこういう出張であるべきだよな、と強く思いました。

2015.9.24-10.2 真の完結編 ~そして伝説へ

まさか一年以上引っ張るとは思っていませんでした、この伝説(サーガ)。前回5月にフォローアップでシンガポールを訪れた我々ですが、Terminator IIはやはり今一調子が悪く、その後もシールメーカーさんが改良シールを作ったり、出張こそありませんが色々なドラマが引き続き進行していたのです。営業のHさんの心労やいかばかりかと察せられます。

そしてついに、全てを見直し改良したTerminator III(しつこい)が完成したという一報を受け、僕らも現地入りして再度運転確認を行うことになりました。

今年はここに来過ぎ…。

日程自体は長いが、問題なく終わり

もうここまで来ると行程は毎度毎度同じなので、

。ジュロン近くの倉庫会社であらゆる事前テスト、合格
・プラントにシステム一式を搬送、現地で据え付け組み立て
・プラントを動かして動作確認、カタカタ元気にポンプが動作する
・我々一安心、特にクライマックスもなくホテルに戻る

という流れで今回も粛々とミッションは完了。土日を挟んでしまったので、僕も家族サービスをしたり、同僚二人はこれ幸いとさらにディープなシンガポール探検をしたようです。

この見慣れた注意喚起サインともお別れ

そして、本当にこれが伝説の終わりとなったのでした。めでたしめでたし。
シンガポールへの出張は、もちろんこれ以降は全くありませんでした…。

(今度こそ完)

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