【商社時代】ギアポンプを巡る冒険⑤(アメリカ再会編)2015.4.6-10

銀座の商社時代
Wild pump chase 5, April 2015

前回はこちら↓

https://schliemann.tokyo/trip-to-usa1-2015/

あれ、またCedar Falls行くんですか…?

忘れもしない今年1月、極寒の中をアイオワ州Cedar Fallsに行ってなんとかポンプの出荷試験を終わらせたのがつい最近のように思えます。今月4月下旬には、シンガポールにまた行って据え付けと運転試験を行う段取りにもなっています。そちらは粛々と進んでいるんです。それは知ってますええ。

「Zenさーん」
やべ、また営業部長に呼ばれたよ。
「S君が担当しているVポンプ、納期に間に合わないってお客さんカンカンなんだよ。もうウチから工場に行って督促してこいって言われてS君も弱っちゃってるんだ。彼を連れて、また行ってくれない?」
えー、またですか。今年3回目ですよこれで。絶対向こうの人々に笑われますよ、「今度は何しに来た?」って。伝説になっちゃいますよ、負の意味で。
「こうなったら2回も3回も一緒だから、なんとか行ってくれないかね。頼むよ」
…僕は上役の頼みには弱い人間です。まさかの、今年3回目のCedar Falls出張が決まりました。

季節は春、あんなにあった雪はいずこへ

今回同行するS君は、ベテラン営業Hさんの社内的な後継者であり、このVポンプの副担当として日々精進している若手営業マンです。今回、これまで盛り上がったシンガポールの一件とは全く別件で、メーカー側の納期が遅れてきてトラブルになりつつある注文で苦慮していました。で、どうにもならないので現地まで行って状況を確認せねばならなくなったのです。大変ですな。

今回は予算の都合でスターアライアンス便で飛ぶことが出来ず、やむなくアメリカン航空でダラスまで、そこからCedar Rapidsに国内線で飛ぶ日程となりました。といっても前回みたいに2週間ぐらいぶち抜きで滞在するわけではなくて、月曜出発、現地火水の二日滞在で金曜の午後5時に成田に帰ってくる、どちらかというと週末の予定に優しい行程です。

こういう、納期を督促するための出張も時としてないわけではないので、僕的には全く問題ありません。また、前回みたいな変なプレッシャーのかかる状況もないし。個人的には、再度現れた僕をメーカーの人々が一体どう処遇するのか、その対応に興味があります(笑)

開口一番、あのセリフ

今度宿泊するホテルは、以前とは違って街の中心部にあるBlackhawk Hotelという伝統あるInnにメーカー側で予約を取ってくれました。ようやくこのメーカーに行けるS君は大層うれしそうですが、僕はまあ2か月ぶりくらいなので何の感慨も起きません。あえて言えば、街から雪がなくなってくれて本当に良かったなと思うくらい。

もう雪がない!良かった良かった

さて、あまりに通い過ぎてもう目をつぶっても到達できるんじゃないか、とまでは思いませんが見慣れた本社の玄関でまた呼び鈴を鳴らします。ピンポーン。すると音を立てて玄関ドアが開き、姿を現したのがK技師(笑)彼はにやにやしながら僕に言います。
「今度は一体何の用で来たんだよ?」
うわー、本当に予想通り訊かれちゃったよ…。

梱包発送直前のポンプを確認

彼に案内されて皆が執務している二階に通されます。懐かしい、といっても二か月前に来たばかりですが、懐かしいはずの人々と挨拶して旧交を温めます。ロジャーも今日の夕食に参加してくれるとのことで、何だか楽しみです。実は今月下旬に行われるシンガポールでの試運転にも、無理を言って彼をアメリカから招聘して現地での立ち合いをお願いしているのです。

さて、出荷前のポンプを確認して写真を撮ることが今回最大のミッションなので、早速工場スペースにあるポンプを見せてもらいます。ああ、小さい。これ、これが普通のギアポンプの大きさですよね。例のポンプがバカみたいに大きいだけで、本当はこういうものなんですギアポンプって。

写真をぱちぱち撮ります。

で、今後の出荷スケジュールを聞いて、さらに納期短縮してくれるようにお願いしてこの出張は終わりです。いや、本当に。毎回こういう楽な出張だと助かるなあ、と思いました。

その日の夕方、ロジャーも合流してもう食べなれたいつものメンツで歓迎の夕食会がありました。温かなホスピタリティはいつものままで、本当に親戚の家にお邪魔したような気分になります。S君のことを皆に紹介して、今回の目的は達成しました。

帰路、まさかのフライトディレイ

さて、Cedar Fallsでの仕事が終わったので、帰国するために次の日の朝Cedar Rapids空港に向かいます。現地に到着し、荷物をチェックイン…しようと思ったら、何やらカウンターの前に小さな人だかりが。なんと、僕らが乗る10時便がキャンセルになってしまい、次の便は夕方5時にならないと飛ばないのです。なんてこった。

こんな小さな空港で7時間も過ごすのは辛い。しかし、最寄りのCedar Rapidsの街まで結構な距離があります。タクシーの運転手に聞いたら、片道100ドルを余裕で超える料金がかかりそうです。しかも前回泊ったから知ってるけど、あの町には何も観光するところがない。

S君はせっかくの空き時間を有効に使いたいと、Cedar Rapidsに行く事を提案しますが、僕としてはこの後フライトがどうなるか分からないので、ここであまり無駄に歩き回りたくありません。色々考えはあるのでしょうが、大事を取って空港で待機することにしました。

ダラスで足止め、そして…

僕らは次の便に振り替えになったので、とにかく夕方5時の便にチェックインすることは出来ました。しかし、このフライトがなかなか飛ぼうとしないのです。1時間以上待たされて、ようやくCedar Rapidsの空港を飛び立ちました。結構なタイムロスです。

この時点で、ダラス空港に到着するのが夜11時近くになることが確定的に。その先は一体どうなるのでしょうか?まさに神のみぞ知る。間違いなく言えるのは、今ここ機内で色々心配しても何も始まらないということです。

そしてようやく10:30過ぎにダラスに着きましたが、ここのターミナルは非常に大きいので、国内線から国際線のターミナルに移動するだけでシャトル電車に乗らないといけません。JAL便が出発するはずのカウンターに着いた頃には、もう誰もいませんでした…乗り遅れ決定。そこから、空港にいたAAの係員にお願いして次の日の東京便にチケットを振り替えてもらいます。この時点で、週末の土曜に到着が食い込むことが確定。用事があったらしいS君はおかんむりです。

まさかのホテル売り切れ

さて、次の日のフライト自体は確保したものの、今度は今夜寝るところを探さなければなりません。かたっぱしからホテルを調べて電話しますが、理由は分かりませんがどこも満室です。まあ夜11:30なんで当たり前かもしれませんが。何度もトライして、ようやく2部屋だけ空いているというホテルがあったので、タクシーを捕まえてそのホテルに行きます。

ようやくのていでホテルに着いてカウンターの人に事情を説明したところ、「ああ、もう部屋は一つしか残っていない」とぞんざいな返事が。さっき確かに二部屋と確認したんだけどなぁ。ああもう面倒くさい。ということで、S君と部屋を分け合って寝ることになってしまいました。ツインなのがせめてもの救い。

もうクタクタになって、とりあえずシャワーを浴びて速攻で寝ます。なんだか、毎回来る度にこういうトラブルが起きます。大雪ばかりかと思ったら、季節が変わってもこれです。

そしてようやく、次の日の昼に僕らは東京に戻る機上の人となったのでした…。

⑥に続く↓

https://schliemann.tokyo/trip-to-singapore1-2015/

 

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