前回はこちら↓
https://schliemann.tokyo/grandads-record-itself/
祖父の従軍履歴ですが、前回の記事にもあるように非常にざっくりとした記載しかなく、行間というか文脈の外にあるコンテクストを理解するには、インターネットで調べるだけではどうも不十分な気がします。ある程度理解が進んだところで、市ヶ谷にある自衛隊の「防衛研究所 戦史研究センター 史料閲覧室」に出向いて、相談員の方に直接相談してみることにしました。
市ヶ谷台の上にある防衛研究所を訪れる
防衛研究所の建物は最寄り駅こそ市ヶ谷ですが、防衛省敷地の北側、加賀門からしか入ることが出来ないので、市ヶ谷駅を出て堀を越え、急な左内坂を登り切ってから更にくねくね歩いていかねばなりません。大体15分くらいかかります。
朝の左内坂とかマジ勘弁実は奇しくも、僕がかつて在籍したJICAの「JICA研究所」の二つ隣がこの防衛研究所なのです。僕はJICAに入る時に当初1カ月近く研修のためにこの道を毎日通ったので、ここは懐かしい通勤ルートと言えなくもありません。(またあの坂を上るのか…)と若干ブルーになりましたが、真夏でないだけマシです。覚悟を決めて行くことにしました。
兵籍簿は基本的に手書きの文書なので判読しづらい部分も多く、まず読み込むだけで大分手間がかかります。このブログに掲載する必要もあるので、全て手打ちでテキスト入力し、印刷したものを1部、原本のコピーと一緒に持参することにします。この方が多分相談しやすいはずです。
入館には写真付身分証明書が必要
坂を上りDNP前の防衛省加賀門に到着したら、まず守衛の方に「史料閲覧室に来ました」と伝えて門の中に入れてもらいます。入ってすぐ駅の改札のようなゲートがあるのですが、臨時入館証を入手しないとゲートをパスできないので、ゲート手前右側の自動扉から守衛室に入ってまず初回の入館登録をします。
守衛の方に来訪目的を伝えると、タッチパネル式の登録機でチェックインするよう促されます。手書きか50音入力で会社名や住所、氏名、電話番号等を入力していきますが、これが画面のレスポンスが遅くて若干使いづらいです。
一回登録するとQRコードを発券でき、次回以降はこのコードをかざせばワンタッチでチェックインできるようなので忘れずに出力します。あとは守衛の方に身分証を見せて、臨時入館証(首から下げる)とQRコードの紙、面談証(全て終了後、閲覧室を出るときに担当者の方の確認印をもらわないと退構できません)を受け取って、ゲートに入館証をタッチしてようやく入場です。
初回であれば守衛の方からA4の一枚紙で「注意事項 閲覧室入室についてのお願い/史料閲覧室及びロッカールームまでの経路」という案内がもらえるので、それに沿って移動すれば史料閲覧室までたどり着けます。利用時の注意事項を簡単にまとめると、
- 開館時間は9時~16時30分だが、16時以降は新規入門不可
- 手荷物(カバン等)やコートは閲覧者ロッカールーム内ロッカー(100円コイン返却式)に預ける
- 飲食などの休憩は閲覧者ロッカールーム内に限り可能。閲覧室内では飲食不可、ドリンク持ち込みも当然不可。廊下に自販機あり。ゴミは全て自分で持ち帰り。
- 筆記用具は鉛筆もしくはシャーペンのみ、携帯はマナーモードで持ち込み可だが通話は閲覧室外で
- 撮影許可された史料であれば指定の場所に限り撮影可(フィルム/デジタルカメラもしくは携帯のカメラも可)
- パソコンも閲覧室に持ち込み可(指定の充電用コンセントも利用可能)
といったところです。訪問される方の利便まで記載しておきます。
相談員の方から貴重なアドバイス
さて無事入館し、荷物も全てロッカーに入れ、史料閲覧室に入るとすでに守衛室から連絡が行っているので、職員の方が非常に丁寧に対応して下さり、相談員ブースの予約を取ってくれます。しばらく待つと番号が呼ばれ、相談員のYさんがブースに座る僕の前に来られました。簡単に来訪目的をお伝えし、兵籍簿原本とタイプした紙を見せます。
時々虫眼鏡を使ったり、分厚い辞書のような資料をいくつも引いて、Yさんが懇切丁寧に軍歴の疑問点について教えてくれます。一緒に考えるような形で、なんと50分近くもの長時間、僕の様々な質問に付き合っていただきました。
その結果分かったことをまとめると以下の通り:
- 戦前は法律によって満20歳になった男子は皆徴兵検査を受ける。甲種合格なら2年間現役として入営するのに、よく考えてみると1年の入営で帰休となるのは不自然。日中戦争が始まるのが昭和12年で、その前年(いわゆる平時)に1年だけで除隊となっているのは、もしかしたら本来現役で入営しなくてもよい乙か丙種だったのに、輜重兵が足りていなくて1年間訓練だけ受けて帰されたのではないか。という推測(確かに祖父は背は高くなかった)
- 空白の昭和17年、履歴を見ると一回だけでなく何度か「補充兵」になっている。補充兵は本来、戦地で消耗した部隊を立て直すために内地から戦地に送られるので、一回補充兵となれば、いずれ戦地に送られるので何回も補充兵になるのは不自然。恐らく、「独立輜重兵第二連隊」の補充兵として日中戦争の輸送に関して色々手伝っていたのではないか。それが完了したので、改めて第二師団歩兵29連隊の輜重兵第二連隊に復帰し、仙台から宇品を経てラバウルに行ったのではないか
- 「アジア歴史資料センター」などで本体(第29連隊)の行動記録を確認して、照合してみるとより詳しい足取りが分かると思う
- 相談員さん曰く、正直非常にまれなケース。こういう形で内地で1年近く留め置かれるケースは見たことがない。
次のアクション
相談員の方のアドバイスは非常に参考になりました。ありがたいことです。今度は国立国会図書館に収蔵されている第二師団歩兵第29連隊の行動記を閲覧しながら、福島県庁に再度訂正した従軍記録がないか確認してみたいと思います。
ドンピシャの書物がオンラインで見つかる
永田町にある国会図書館は、調べ物から読書まで学生時代から愛用している施設です。早速、NDL Onlineのページで祖父の所属連隊を入力して検索すると、まさにドンピシャの書籍名が出てきたではないですか。
ああ、まさにこれです。これを閲覧すれば、様々な謎が解けるはずです。早速電車で永田町に向かいます。
祖父の名前が載っている…!
いつも通り、カバンをロッカーに預けて登録カードをかざして入館します。この国会図書館で最初に本を請求すると大体30分かかるので、少し早いのですが昼飯を6Fの食堂で取ることにしました。なんかカレーが食べたいので、名物「図書館カレー」にします。要はカレーと牛丼のあいがけです。どこかの牛丼屋さんで出そうなメニューです。

カレーは甘口の日本カレー
そしてHPで請求の進捗状況を確認するともう本が届いたようなので、カウンターに行って書籍二冊を受け取ります。早速机を確保し、パラパラと本をめくってみたところ…そうです、これです。探していた本は。
途中で部隊編成や地図、所属人員の表が出てくるのですが、いた!いましたようちの祖父。名前を見つけた時は、少しゾクッとしました。
新たな資料を基に、兵籍簿を再度検討してみる
この書籍の情報を兵籍簿と比較照合すると、本当に色々な発見がありました。国会図書館で必要な部分をコピーにとってもらい、それをもとに前回のオリジナル兵籍簿と比較対象表を作ってみたので、次の記事で詳しく研究したいと思います。
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